制御入門【ARMマイコンによる応用と実践】
目次
実践で使う制御理論
みなさんは制御と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。イメージはひとそれぞれだと思いますが、ロボットなどの装置を構想したとおりの動作になるようにプログラミング等で実現することを想像するひとも多いのではないでしょうか。このサイトで扱う制御はプログラミング等で命令を順次実行して想定通りの動作を実現するいわゆるシーケンス制御ではなく、フィードバック制御と呼ばれるものです。
フィードバック制御は実行したいターゲット(制御対象)に与えた目標値(入力)に対して、センサーなどで検知した動作量(出力)を入力側に戻して自動で最適に調整して目標値に近づける制御方式です。フィードバック制御は感覚的に実現するものではなく、制御理論に基づいて設計するものですが、この制御理論というものは工学というよりむしろ数学に近いものでとても難解なものです。
制御理論は制御工学に属するものですが他の工学分野と比較してとても抽象的なものです。学問としての制御理論について詳しい解説等はよく見られるのですが、理論の範囲内にとどまっていて実際のモノに適用して実験レベルを超えて実用化させた経験のある人は果たしてどれくらいいるでしょうか。
実際のモノに適用する際には、理論とのインターフェースがわかりにくい部分で、物理的モデルの不確かさ、外乱やノイズによる影響、入出力の物理的制限(電流制限、センサ分解能等)、またプログラミングによる離散化の影響など現実に直面する多くの要素すべて解決しなければ実用的なものとはなりません。そういった意味で本当に使える人はあまりいないのではないでしょうか。それだけに、基礎を理解し実際にモノに適用して経験を積むと人より一歩先に進めることは確実です。
このサイトでは独学ではなかなか理解しにくい制御理論をできるだけ感覚的に理解できるように物理的なモーションコントロールを例にあげて解説しています。「準備編」からはじめて「発展編」まで理解できるころには実践で応用できるきっかけはつかめるのではないでしょうか。モーションコントロールアプリでは実際のモノに適用して検証していますので制御理論が本当に有効で実用的であることが実感できると思います。
準備編
解析編
応用編
発展編
番外編
多角的な解釈
モーションコントロールアプリ
制御理論は理解するだけでは数学の域を超えません。実際のモノに適用して初めて利用価値があるといえます。また、実際に適用させてはじめて本質が理解できることもあります。制御工学とはいえ、大学の講義などでは数学の範囲内であるものも数多いため、より敷居が高いものとなっています。
この章では制御理論の適用としてレゴ®マインドストーム®EV3モータを使用したさまざまなアプリケーションで実際に動作させて、理論の有効性を確認していきます。それぞれのアプリケーションには実践で得たノウハウがつまっています。学術論文レベルのものもありますが、敷居をずっとさげた実用的なものにしています。制御理論の応用は非常にシンプルで実用的であることがおわかりいただけると思います。